オーボエの演奏を左右する重要な要素の一つに、リードの選び方があります。
素晴らしい演奏のためには、ただ単にリードを選ぶだけでなく、その選択には特別なコツが必要です。
この記事では、オーボエ奏者が知っておくべきリード選択の基本から、プロが実践する細かなテクニックまでを網羅的にご紹介します。
葦製か樹脂製か、スクレープの長さはどうあるべきか、リードの寿命をどう延ばすかなど、様々な角度からオーボエリードを選ぶ際のポイントを掘り下げていきます。
また、特におすすめのリードも紹介するので、ぜひ自分に合ったリードを見つける参考にしてください。
- オーボエのリードが演奏に及ぼす影響と、リード選択の基本的な重要性
- リードの種類(葦製と樹脂製)とその特徴、それぞれの利点と欠点
- リードの構造、特にスクレープの長さが音色に与える影響
- リードの寿命を延ばす方法と、品質の良いリードを見分けるポイント
オーボエの完成リードを選ぶコツ:基本の知識
オーボエリードを選ぶ際には、まず基本的な知識が重要です。
オーボエリードは演奏の質に大きな影響を与えるため、適切な選び方を理解することが必要です。
最初にリードの豆知識
オーボエのリードって?
オーボエは、その独特な音色を生み出すためにリードの振動が不可欠です。
このリードは、一般的なクラリネットやサックスのシングルリードとは異なり、ダブルリードとして設計されています。
2枚の薄く削った葦(アシ)を重ね合わせ、息の振動で音を出します。
オーボエリードの製作は非常に繊細な作業であり、吹き手の技量と音色に大きな影響を与えるため、オーボエ奏者にとっては重要な要素です。
オーボエのリードの構造
オーボエリードの核心部分は、振動して音を生み出すスクレープです。
このスクレープは、リードの先端近くにあり、厚さは数ミリメートルにも満たないほど薄く削られています。
実際、スクレープの長さはリードの性格に大きく影響し、日本で一般的に使われているのは約10mm前後の長さです。
また、リードのチューブ部分は、長さによって音程に変化をもたらします。
46mmと47mmが主に使われるチューブの長さは、リードの全長と共に音程を低く、または高く調整する役割を持っています。
楽器本体や奏者のアンブシュアに合わせて適切な長さを選ぶことが、理想的な演奏への鍵となります。
オーボエリードの種類
オーボエリードの種類は、その材質とスクレープの長さによって大きく異なります。
リードの材質
葦(ケーン)製
ケーン製のオーボエリードは、天然の葦の茎を使用しており、各リードに個性があります。
これにより、リードごとに異なる音色や吹奏感がうまれます。
ケーン製リードの寿命は通常2~4週間程度とされており、頻度や使用方法によって変動します。
価格は1本あたり約2,000~3,000円で、その自然な音色は多くのオーボエ奏者から高く評価されています。
樹脂(プラスチック)製
対照的に樹脂製リードは、プラスチック素材を用いることで個体差が少なく、安定した吹奏感を実現します。
寿命もケーン製に比べ長く、約3~6ヶ月持続することが多いです。
ただし、1本当たりの価格が約20,000円前後と高価であり、外観は半透明でケーン製と一目で区別がつきます。
樹脂製は特に季節や湿度の変化に左右されにくい点がメリットとして挙げられます。
スクレープの長さの違い
オーボエリードのスクレープの長さは音色に大きな影響を及ぼします。
- 長いスクレープ:
- 豊かで深みのある音色を生み出す。
- 吹奏楽やオーケストラなどでの豊かな響きに適している。
- より暖かみのある音色を求める奏者に好まれる傾向がある。
- スクレープの長さは通常18mm以上で、リードの根本から削られている。
- 短いスクレープ:
- 明るくクリアな音色が特徴。
- ソロ演奏や室内楽での細やかな表現に最適。
- 高音域での明瞭な音色を出しやすい。
- 一般的に8mm~10mm程度の長さで、リード先端部分が主に削られる。
リードの寿命について:長持ちさせたい!
オーボエのリードは、適切な管理で長持ちする可能性があります。
理想的な状態を維持するためのポイントについて詳しく見ていきましょう。
リードの寿命
オーボエリードの寿命は、使用頻度や保管状態によって大きく異なります。
一般的には、ケーン製リードは約2~4週間、樹脂製リードは約3~6ヶ月程度が目安とされています。
日々の練習で数時間使用する場合、2週間が交換の目安となりますが、週末のみの使用であれば、約4週間の使用が可能です。
ただし、音質の劣化やリードのハリの失われを感じたら、新しいリードへの交換を検討しましょう。
長持ちさせるコツ
リードの寿命を延ばすためには、以下の点に注意しましょう。
ローテーションで使う
オーボエリードの効果的な管理法として、複数のリード(一般的には3~5本)をローテーションで使用することが良いとされます。
実際に、多くのプロ奏者は平均して4本位のリードを交互に使うことで、各リードの負担を軽減させてます。
これにより、リードの偏った消耗を防ぎ、各リードの最適な状態を保つことが可能です。
また、異なるリードの特性を理解し、様々な演奏環境に適応できるようになるメリットもあります。
湿度管理を徹底する
リードの品質を保つためには、湿度管理が不可欠です。
理想的な湿度レベルは40~60%とされ、これを保つことでリードの寿命を最大限に延ばすことができます。
湿度調整アイテム「モイスレガート」を使用すると、この理想的な湿度を維持しやすくなります。
実際、適切な湿度管理によって、リードの寿命は延びることが多いです。
モイスレガートはコストパフォーマンスにも優れており、少ない投資で長期間リードの品質を維持することが可能です。
適切な保管方法
リードの保管に最適なのは専用のリードケースです。
リードケースを使用することで、リードが外部の圧力から守られ、形状の変形を防ぐことができます。
特に、リードの先端が湿っている状態での圧力は変形の原因になりやすいため、この点が特に重要です。
また、リードケースの中でリードを整理することで、使用するリードの状態を一目で確認でき、効果的なローテーション管理が容易になります。
オーボエの完成リードを選ぶコツ:おすすめリード編
完成リードの選択には、見た目や試奏による評価が重要です。
リードの選び方
ここではリードの選び方を紹介します。
まずは見た目で選ぶ
欠けや割れがない
オーボエリードは極めて繊細な構造をしており、欠けや割れがあるとリードの振動に影響を与え、音質を損ないます。
新品リードの中には、製造過程で微細なダメージを受けたものもあるため、購入前にはリード全体を丁寧に観察し、欠けや割れがないかを確認することが重要です。
さらに、リード表面に亀裂がないことも確かめましょう。表面の亀裂は、リードの振動特性に影響を及ぼし、音色や音程の安定性を低下させる可能性があります。
繊維のきめが細かい
オーボエリードの品質は、その繊維のきめ細やかさにも表れます。
高品質なリードは、表面に均一で細かい繊維構造を持ち、これによって均等な振動が可能となります。
繊維の粗いリードは、不均一な振動を引き起こし、音色の不安定さを招くことがあります。
理想的なリードは、表面が滑らかで、きめが細かく、光沢があるものです。
これは、リードが良質な素材から作られており、適切な状態で保管されていることを示唆しています。
先端部分が左右対称になっている
リードの先端部分の左右対称性は、オーボエ演奏において極めて重要です。
対称性が保たれているリードは、均衡の取れた吹奏感と安定した音程を提供します。
非対称なリードは、音程の不安定さや不均衡な吹奏感をもたらし、特に高音域での演奏に影響を及ぼすことがあります。
先端部分が左右対称になっているかどうかを確認する際には、リードを正面から見て、両側が均等に開いていることを確認しましょう。
左右どちらか一方が大きく開いている場合や、先端が不均等にカーブしている場合は、避けた方が無難です。
最後は試奏
試奏して選ぶ事ができる場合はしっかりと試奏しましょう。
リードの選択において非常に重要です。実際に演奏してみて、自分の楽器との相性や演奏感を確認しましょう。
リードを試奏する際には、以下のポイントに注意してください
- リードが適切な音程を保っているかどうか。リードを吹いた際に音程が安定しており、楽器の各登録で正確なピッチが得られることが重要です。
- 音色の一貫性。リードは全音域で一貫した音色を提供すべきです。ある音域で音色が変わる、または不安定になるリードは避けるべきです。
- 吹き心地。リードは演奏者にとって快適に感じるべきです。吹きにくい、または過度の抵抗を感じるリードは、長時間の演奏で疲労を引き起こす可能性があります。
おすすめ完成リード4選
ノナカ
ノナカのオーボエリードは、その扱いやすさと明るくパワフルな音色で、初心者からプロ奏者まで幅広く人気があります。
このリードの特徴は、高音域においても音痩せせず、伸びやかで豊かな響きがだせる所です。
特に高音域の演奏に際しては、他のリードに比べて顕著な違いを感じられるでしょう。
通販での購入の際も、リードの品質の一貫性が高く、当たり外れが少ないと評価されています。
ワカオ
ワカオブランドのオーボエリードは、その繊細で表現豊かな音色が特徴です。
クラシック音楽など、細かいニュアンスを表現する演奏に特に適しています。
ワカオのリードは、特に繊細な音色のコントロールが可能で、音楽の表現の幅を広げることができます。
JOSEF(ヨーゼフ)
JOSEFのリードは、品質の高さと持続性で知られています。高品質のケーン材を用い、一つ一つのリードが精密に作られています。
一本あたりの価格は4,000円から5,000円程度となっており、高品質なリードを求める奏者には最適な選択肢です。
JOSEFのリードは、その安定した品質と耐久性から、プロ奏者にも好まれる傾向にあります。
Legere(レジェール)
Legereのプラスチック製オーボエリードは、一貫した品質と長い寿命が魅力です。
ケーン製リードと異なり、湿度や天候の影響を受けにくく安定した演奏が可能です。
硬さはM(ミディアム)、MH(ミディアムハード)、MS(ミディアムソフト)の3種類から選ぶことができ、価格は一本あたり約20,000円程度です。
耐久性と安定した演奏が可能なため、長期的なコストパフォーマンスも非常に高いです。
プラスチックリードは結構評判いいみたい
プラスチックリードはその耐久性から注目されています。
天然の葦(ケーン)製リードが約2~4週間の寿命であるのに対し、プラスチックリードは3~6ヶ月、場合によってはそれ以上持つという報告もあります。
そのため、頻繁にリードを交換する必要がなく、コストパフォーマンスにも優れています。
また、湿度や温度の変化に強く、一貫した演奏が可能な点もプラスチックリードの大きな利点です。
特に、レジェール社のプラスチックリードは、安定した品質で高い評価を受けており、天候に左右される屋外での演奏や、長時間の練習にも最適です。
リードには当たりはずれがある
オーボエリードの選定は、楽器演奏の中でも特に繊細な作業です。
一般的に、10本のリードから2~3本が「当たり」とされることが多く、残りは演奏者の好みや楽器との相性によって「はずれ」とされることがあります。
実際には、リードの厚みや振動部分の形状、チューブの長さなど微妙な差異が演奏に大きな影響を及ぼします。
したがって、複数のリードを試奏し、自身の演奏スタイルや楽器との相性を確かめることが重要です。
また、リードの選定には個人の好みも関わってくるため、同じリードでも演奏者によって評価が分かれることもあります。
まとめ:オーボエの完成リードを選ぶコツ
記事のポイントをまとめます。
- オーボエリードは演奏の質に大きな影響を与えるため、選択には基本的な知識が必要
- オーボエはダブルリードであり、2枚の薄く削った葦を使用して音を出す
- リードの核心部分であるスクレープはリードの先端近くにあり、その厚さは数ミリメートル
- 日本で一般的なスクレープの長さは約10mm前後
- リードのチューブの長さは音程に影響を与え、46mmと47mmが主に使用される
- リードの材質には葦製と樹脂製があり、それぞれ異なる特性を持つ
- ケーン製リードは天然素材で個体差があり、寿命は約2~4週間
- プラスチックリードは安定した吹奏感で、寿命は約3~6ヶ月
- オーボエリードの選択には見た目の確認と試奏が重要
- 10本のリードから2~3本あたりがでる位の確立
- リードのローテーション使用と湿度管理が寿命を延ばす
- プラスチック製リードは耐久性が高く、天候に左右されにくい